目標地点は受験突破のその先、
「自分で自分の人生を切り拓き、自ら幸せになれる力」を身につけ、
「幸せに働ける社会人」になるための、
総合的な教育支援を行っています、
プロ家庭教師/教育コンサルタントの三宮です♪
太宰府市にあります、
福岡県立福岡農業高等学校
の、塾対象学校説明会レポートです♬
西日本一の敷地面積(42ヘクタール)を持ち、校内に水田や山がある、
とっても自然豊かな学校です。
創立から145年。
昨年から、令和11年度までかけての大規模改修工事が行われていて、
今回の説明会の会場は、新しい校舎のほうになっていました。
机に向かう勉強だけでなく、実習もたくさんあります。
このあたりは皆さん想像つくと思うんですが・・、
この学校が本当にすごいのは、
学外の、多くの地域の子どもや大人たちと関わり合い、官民の組織とも組んだりしながら、
現在の地域課題をはじめとしてあらゆる課題に、
「論じる」だけではなく、
「解決する策を実行する」取り組みを、実際にやって、
成果を上げている事です。
高校生とはいえ、その主体的な活動は、大人顔負けです。
この学校の子たちは、そんなことをやってる子たち。
また、農業高校という学校名から、
畑耕す、作物づくり。
のイメージだけが先行すると思いますが、
それだけではありません。
そして、
「生活デザイン科」といった、家庭科もある学校です。
学校は私の家のご近所なので、登下校中の生徒さんたちはよく見かけますが、
皆、イキイキしていて、健康的。
私からすると
「生きてる」
生徒さんばかりです。
農業、園芸、環境、飼育、食、服飾、などに興味のある子はもちろんですが
なんとなくで、
「とりあえず高校は出といたほうがいいって言われるから〇〇に・・」
なんていう、
将来を閉ざしかねない危険な選択をしそうな中学生や、
生きてる感覚がない中学生、
そして、そういう子の親御さん方には、
特に、
「こういうところもあるんだよ」
知っていただくことで、
自分の将来を具体的にするための、選択肢を増やす視点を持ってもらえたらと思います。
毎年参加してレポートにしていますので、全体概要やその他の情報は、過去のレポートもさかのぼって見ていただくといいと思います。
昨年のレポートはこちら
↓
https://sannomiya-s.com/uncategorized/fukunou2022.html
今回は、新しく得られた情報や感じたことなどを中心に、ご紹介していきますね。
ぜひ、参考にしてください。
目次
福岡農業高校全体の特記事項
普通高校と違い、学校内での学習、実習内容、学外の活動やその成果が、たくさんありすぎることもあって、
いつもバーーーーっ!と駆け足で大量に紹介されます。
何回も来て、学校の紹介を聞いてるのに、
毎回、初めて知る話しがたくさんあります。
その内容やエピソードは、どれも本当にすごいな〜!と感心するし、面白いしで、聞き入ってしまいますが、
業界用語や組織名、初めて聞く単語も結構あって、書き留めるのが難しいです(笑)
今年の説明会での、取り組みの今年の強調事項、新しく得られた情報、などで、書き留められたものをいくつかあげると・・
・農業高校でも、家庭科がある!
同じく福岡県内にある、糸島農業高校の家庭科は、農業に関連する内容ですが、
ここの家庭科(生活デザイン科)は、ファッションデザインコース、フードデザインコース、と、農業に関すること以外を扱うのが特徴的。
このあたりをもっと知ってほしい、とのことです。
・資格取得支援のための、課外指導あり
国家資格含めて、様々な資格を高校在学中に取得できます。頭の若いうちに、取れるだけ取っとくと、後々有利です!
・学校に現在ドローン4台所有。課題研究などで生徒が使っている
中学生で、機械好きで、ドローン撮影に興味を持ってる子、
ボチボチいるんじゃ〜いるんじゃないでしょうか?
・今年の田植えから、自動運転の田植え機を使用! 1日かかる田植えを午前中で済ませた
昨今は、自動運転の技術がいたる分野で開発&活用されていますが、大型トラックも自動運転になってたりする時代に。
農業の分野も同じで、今、スマート農業が始まっていますよね。ドローンによる農薬散布の光景も珍しくなくなりました。
この学校でも、ついに、自動運転の田植え機が使われた、とのことですよ!
・ベトナムから大臣クラスの方々が、農業見学に訪れた
ベトナムは戦後日本をモデルにして復興していますが、ベトナムでも日本のように農業高校を作りたい、という流れがあるらしく、その一環での見学だったそうです。
・新入生アンケートで、この学校に期待することの自由記述からAIテキストマイニングで大きく出てきたワードは、
「実習」「専門」「できる」「資格」「楽しい」「農業」「将来」
・福岡ワンヘルス推進教育研究協力校として、福岡を牽引。
・昨年、太宰府市との包括連携協定締結。
どの観光地もそうですが、太宰府市でもコロナで観光客が激減。
市は大きな課題を抱えていたことから、
この学校の生徒たちと、「梅プロジェクト」で、太宰府政庁跡地の梅などを使った新たな商品開発を行なったりしているそうです。
スライドで新商品を紹介されていました。
都市園芸科の紹介での特記事項
・1年で農業の基礎学ぶ。
・2年で「野菜」「草花」「果樹」を全員学習。ユーカリ祭あたりからそのうちどれかひとつのコースを選択。
・3年では完全にコースに分かれた学習。
1、2年の、「グリーンライフ」の授業では、太宰府市内小学校への給食食材提供プロジェクトを実施するそうです。
また、生徒が講師となって、地域の子どもたちと野菜の種を植えて育てたり、生産工程管理の実習授業などもあるそうで、「GAP」のお話しもされていました。
みかん狩りや柿狩りもあり。
環境活用科の紹介での特記事項
・1年で農業の基礎を学習
・2年で、生活環境コースと環境緑化コースへ。
動物科学の授業では、エミューの卵を孵化させたり、閉園する動物園から動物もらってきて飼育。
また、ふれあい動物園を運営したりもするそうです。
総合実習の時間には、さつまいもの苗を3000本植えて、幼稚園、保育園、小学校、特別支援学校の子たちに、学生が講師となって芋掘り体験を提供。
1500人くらいの子たちが参加しているそうです。
食品科学科の紹介での特記事項
・2年では食品加工に関する基本を学ぶ。
・3年で、食品栄養コースと食品製造コースへ。
食品栄養コースで代表的な取り組みは、生徒主体のNPO法人による「子ども食堂」の運営です。
以前のレポートにも書いていますが、ここの子ども食堂は、食事の提供に留まらず、
その先
「子どもたちが、家に帰って自宅冷蔵庫にある食材を使って、自分で作って食べられる力を身につける」
ここに目標地点を設定しています。
生徒が自分たちで、子どもでも作れるようなレシピを開発して、
子どもと一緒に作ることで、練習してもらったりもしているそうですよ。
また、梅研究班は、
企業と共同での商品開発を行なっていて、カルビーと共同開発して毎年出しているポテトチップは、私もイオンで毎年買っています。
その他、めんべい、梅のり、などなど、いろいろ紹介されていました。
食品製造班は、パンを製造していますが、個人的に、
昨年校内見学中にちょうどいただくことができた、あの、パンの美味しさが、
忘れられません♡
食の安全性や、食育に興味のある方に、あのパンをぜひ一度食べてみてほしいです。
今回初めて聞いてびっくりでしたが、生徒たちは50種類くらい作れるらしいです!
生活デザイン科の紹介での特記事項
・農業高校だけど、農業とは関係ない家庭科。
・被服(ファッションデザインコース)と、調理(フードデザインコース)の2本立て。3年でどちらかのコースへ。
例えば服飾を学ぶにしても、じゃあ、それを使って実際に社会で何ができるの?
そこまで考えて、実際に活動に移していくそうです。
この学校らしいです。
例として、「野菜・果物シスターズ」を紹介されていましたが、
野菜や果物に扮するコスチュームを制作して、それを着て、食育活動で、地域のイベントに参加したりしているそうです。
進路実績
現在は7〜8割が進学。2〜3割が就職。
進学希望者は増え続けています。
ちなみに、今年は、国公立大学に2名進学。
国公立大学の中には、農業高校から推薦で受け入れるような大学もあるようです。
昨年は、160人中、40人の就職希望者に対して、1700件近くの求人があったそうです。
そして、その求人の質、なんですが、
企業側の視点では、
大卒生は、求人で内定を出しても来てくれない事もある一方で、
高校生は、基本的に一人一社制なので、内定出せば来てくれる。
だったら、最初から高校生に求人出そう!
と、高校生の求人にシフトしている現状があるようです。
なので、特許を持っているような企業、以前であれば大学に行っていた商品開発系や金融系の企業が、
今は高校にも求人を出すようになっているそうです!
少し前に、凄腕の就活コンサルの方と繋がりまして、
私の生徒たちの、進学のそのあと、
就活までを、今まで以上に強力にサポートするための、
頼もしいビジネスパートナーとなってくれることになりました。
その方が、
「皆、大手の名前に惹かれてそこに行きたがるけど、実は福岡には隠れた優良ホワイト企業がたくさんあって、多くの人がそれに気づいていなくてもったいないですよ〜」
と、言われていましたが、
この1700件の求人の中には、そういうお宝企業がたくさん含まれているんだと思います。
卒業者の進路実現は、
今年も安定の、
9年連続100%
です!
ようは、進学でも就職でも、どちらでも、
高校卒業後のその先まで、確実に繋がっていくということです。
入試に関して
前回入試から、特色化選抜も導入されています。
特色化選抜で受け入れるのは、短大・4年生大学への進学志望者です。
今回初めて聞きましたが、農業の教員不足で農業の教員人材の育成課題もあるのだとか。
また、日本は今、国全体として農業課題を抱えていますが、
その課題を解決していくような、農業のスペシャリストを育成の必要性も言われていました。
ただ単に、学校単体の実績云々ではなく、
日本の今の課題解決を意識したお話しをされているあたり、
学校のあらゆる活動が、何かしらの課題解決活動に直結した活動になっている、この学校らしい高い視点だなと思いました。
実際の受験の難易度について、なんとか聞き出そうと事前に質問を出されている塾の先生がいらっしゃいましたが(笑)、
県立ですので、その開示はやはり無理とのことでした。
昔であれば、農業高校は入りやすかったですが、
昨年、
「受かるとばかり思っていた子が落ちてしまった」と言われていた塾の先生もいらっしゃいましたし、
昔の感覚では入れないです。
倍率も、年によって大きく開きがあります。
塾や家庭教師の立場だと、正直、
見えないことが多くて受験させにくい学校
とはなってしまいますが、
中学時代に危うかった子が、ここに来て息を吹き返して伸びる子がたくさんいるということでしたし、
中学でくすぶっている子は、
後先考えずに、ラクを優先した専願や特色化選抜での受験で、
その先が見えない学校をテキトーに選んでしまうより、
チャレンジする価値は、大いにあると思います。
本気でここを目指したい子は、
しっかり頑張って準備して受験に臨んだり、
特色化選抜を活用して意欲をアピールすることを検討するのがいいです。
体験入学
こういう学校は、もう本当〜に、
見てナンボ、体験してナンボ。
です!!
10月7日に体験入学が予定されていますから、気になる人は、行ってみるといいですよ。
それぞれの科で実際に体験学習ができますよ。
ここで私からひとつ注意点が。
一般的な体験入学のお話しで時々耳にするのが、
「体験入学行ったけど、体験が面白くなかった(→だから、自分にはこの学校は向いていない。気に入らない。)」
という、アッサーい解釈と判断。
逆に、体験が面白かったらその学校に決めちゃうの?!
こういう話し、本当にびっくりします。
体験入学は、そこで何を体験できて面白かったかそうでなかったか、が大事なのではなく、
学校の敷地内に足を踏み入れて、そこの先生たちや生徒さんの雰囲気を感じて、
そして、
実際にはどんなことを学んでいけるのか?
その先にはどういう選択の可能性があるのか?
必要なら、突っ込んで質問して、
そうやって、判断していくものです。そこをお忘れなく。
こちらの学校は、それ以外でも、
11月3日にユーカリ祭(文化祭)があって、そちらに行ってみるのもいいと思います。(来てみてください!と、歓迎されてました)
親御さんは、
毎月定期的に行われている農産物販売会でも、学内の環境や、販売している子たちで生徒さんの雰囲気がわかると思います。
ただし、この農産物販売会ですが、
16時から開始でも、15時過ぎには並んで整理券をもらわないといけないくらい人気みたいです〜。
まとめ
当然ですが、普通高校と比べて実践的な活動が多く、
確実に実生活や労働の場で活かされることを身につけられる学校、という印象が強いです。
農産物販売会などがいい例ですが、自分達が作ったものを、実際に自分達で販売して収益を得る、
とか、
自分達で考えて発案、実行して、地域に貢献する。
こういった一連の流れを、生徒主体で実践しています。
また、地域活動を通して、多くの世代の方々と交流する機会があり、
自然とコミュニケーション力が養われて、社会性が身につけられているのではないかな?
と思います。
この、コミュニケーション力に関しては、ここで苦労している子たちが多くなっていて、そのご相談も増えています。
私も、
生徒に「コミュニケーショントレーニング」を行うことも少なくありません。
だから余計に、そこに目がいきます。
授業のカリキュラム的にも、周囲の同級生の雰囲気的にも、
ボーーッとして過ごすことは、したくてもできないはずです(笑)
学内見学では、普通高校の子たちと比べて、
「やらされている」よりも「やっている」
生徒さんを、たくさん見ることができます。
意識や姿勢が自然と変容していって、結果的に、
アンケートで表出されていた「将来」という単語でもあったように、自分の将来が確実に創られる学校、となっているのではないのかなあ?
と、感じます。
太宰府の高台にあって、生徒数に対しての敷地や校舎の広さ(教室内の机の間隔広いです)、教室からの眺め、緑の多さ。
とにかく広々としていて解放感が半端ないです。
見るからに伸び伸びできそうです。
自然に触れる機会が多いですから、何らかの事情で心身にちょっと不調があったりする子、生きてる実感を持てない子は、
こういった環境に身を置くことで、心身が健康になっていくと思います。
毎日黙々と机に向かって勉強するだけより、息を吹き返す可能性が高いと思います。
高校を選ぶ際には、
「そこで何ができるか」「その先どこにつながるか」
さらには、「自分に合っているか」
そこまでを考えて、真剣に選ぶことがとても大切です。
机に向かって勉強するのが中心の普通高校以外にも、
こういう、
実践的にいろんなことをやっていくような学校もある。
ということを知ってもらって、
自分の将来をもう少ししっかり考えて、自分に合う学校を選んでもらう機会になればと思います。
みなさんの学校選びの参考になれば嬉しいです♡
今年も、福農黄金たまご、いただきました〜〜!!
写真撮り忘れて、速攻で食べたので、一個ないけど(笑)