太宰府市にあります、筑陽学園中学・高等学校(中高一貫)、筑陽学園高等学校の、塾対象学校説明会に行ってきましたので、そのレポートです♪

2年後に、創立100周年を迎える学校です校章が梅っぽい。太宰府らしくていいですね。

サッカーや野球など、部活も強いですよね。数年前の甲子園も、個人的に記憶に新しいです。

ですが、進学校としても、多くの進学実績があります。

数年前からは、時代の変化、求められる教育のあり方に合わせて、「詰め込み型の学習からの脱却」を掲げ、来年度からは大きく5つの改革を実行されるようです。

今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、説明のみの見学なしだったのですが、2年前には校内の様子を見学したり、食堂体験もさせていただけました。

一昨年のブログでは、校内の様子などもあげていますので、そちらも参考にしてください。

2019年説明会 筑陽学園 中高一貫
https://ameblo.jp/kotosa-taro/entry-12531862089.html

2019年説明会 筑陽学園高等学校
https://ameblo.jp/kotosa-taro/entry-12529582627.html

 

 

この学校の特記事項

詰め込み学習からの脱却 5つの教育改革

時代の変化、求められる人材の変化、また、それに伴う大学入試改革に適応するために、これまで多くの学校で行われてきた「詰め込み学習」を脱却することを宣言。また、これまで培ってきた受験&学習指導のノウハウは活かしつつ、人間教育の徹底さを第一に打ち出して、生徒の「自立」と「自律」を促進するための教育改革が実施されます。主なものは次の5つです。

・朝、放課後の補習の廃止

・時制の変更

・放課後、土曜日に、完全希望制の講座制授業を開始

・完全週休2日制

・高校、特別進学S選抜クラスに、理数コースの新設

強制的に何かに参加させて生徒を拘束するのではなく、生徒に時間を返して、その時間に生徒自身が自分に必要なことを選択して、実行していくことを促すための計らいです。

当然、生徒に必要なことは一人一人違っています。

ご家庭(生徒本人や親御さん)からの相談の中に、「希望制の補講が学校で予定されているんですが、参加したほうがいいですか?」といったことがよくあります。

その際は、生徒に話を聞きながら、よくよく検討して相談して本人に決めてもらうんですが、参加せずにその時間に別のことをしよう、という結論に至ることも結構多いです。検討材料は、生徒の現在地、その補講の内容、担当教師(誰がやるかはとても大きい)などです。

強制参加の補講の場合だと、よく生徒から「意味がない。身にならない。別のことしていたい」という声も聞かれます。生徒自身が、自分にとって本当に必要なことが何かを把握していることも多いです。
正直、「なんで強制参加にするかな〜」と思う場面もたくさんありますので、生徒本人に選択権を与えるこの改革は、個人的に、とてもいい改革だなと思っています。

親御さんの中には、学校での時間が減る、強制力がなくなることで「勉強しなくなるんじゃないか?」と心配される方もいらっしゃるかと思います。学校としても、保護者の方々に改革内容を理解してもらうのは大変だったんじゃないかとも推測します・・。

ですが、大学入試は、覚えた知識を確認するための入試から大きく変わっています。
学力の3要素の1つ、主体性・多様性・協働性も測られますので、強制で入れ込む知識では通用しない、今の大学入試です。
いかに自ら考えて動けるか? そこを重視して養成することが大切なんです。

新設される理数コースについては、コース紹介で少し詳しくご紹介します。

指定の国立大学の授業料までも給付される、学力奨学生S

高校S選抜クラスの一部の生徒になりますが、学力奨学生Sになると、高校在学中の授業料・教育充実費の全額給付に加えて、学校が指定する国立大学に進学した場合は、その大学の授業料までも給付されます!

指定国立大学は、北海道大、東北大、東京大、名古屋大、京都大、大阪大、九州大、一橋大、東京工業大及び、国立大医学部医学科です。
しかも、一浪までOKとのことでした。医学科は6年間分、ちゃんと給付されます。

大学の学費まで面倒見てもらえるなんて、すごいですよね!!

もともと賢くて勉強(学ぶこと)が好き、知的好奇心に溢れていて将来は大学進学をしたい思いがある。けど、家庭の経済面で制限がかかってしまっている、というような子にとっては、大きな大きなチャンスです!!

こういう情報をキャッチ、制度をフルに活用して、諦めずに自分の未来を創って欲しいです。

クラス構成と特徴 〜筑陽学園中学・高等学校(中高一貫科)〜

筑陽学園の校訓は「人を愛し、ひとに愛される人間」の育成ですが、この校訓を軸に、中高一貫の6年教育が施されます。

親御さんがこの学校の卒業生で、この校訓のもとで受けた教育が良かったからと、子どももここに入ったというご家庭もあるようです。パンフレットに載ってました。

カリキュラム数は教育改革で今後少し減るようですが、それでも、公立中学の週29単位より多いです。

学習規律の徹底では、「3・2・1分前行動」の徹底をされていて、授業の前に黙想なども取り入れているそうです。

ハイレベルクラスとレギュラークラス

ハイレベルクラスは、将来的には、難関国立大・私立大への現役合格に向かって部活動と両立しながら、勉強中心の学校生活を送るクラス。

レギュラークラスは、幅広い目標に対応。勉強にも部活にも全力で取り組める環境の中、基礎から国公立大や有名私立大への進学を目指すクラスです。

中高一貫校の大きな特徴の1つが、6ヶ年計画で大学受験を目指すカリキュラム構成ができ、中学の後半で高校の内容に入ることです。
先取りが基本で、これにより、高校3年次には通常の授業内容が終わっていて、そのぶん大学入試のための演習をたくさんできるようになります。

中高一貫校ゆえの大きな強みですね。

もっと早いところだと、中3の初めから高校内容に入るところもあります。


私も以前は、中高一貫専門の家庭教師みたいになってましたが(笑)、大学受験を見据えての学習なので、公立中学とはやることが大きく違います。
久しぶりに公立中学の生徒を受け持ったときには、いろんな意味で慣れるのに苦労しました。それくらい違います。同じ中学生・・ではないです。

中高一貫校の中学生で、たまーにいるんですが、自宅近所の中学生対象の塾に通ったり、中学生対象の家庭教師をつけていたり。
本来やるべきことに対応してもらえていないことに、本人も親御さんも気づかれていないことがほとんどです。
私のところに来て発覚したときには、当然ショックを受けられます。

中高一貫校の中学生の学習指導は、中高一貫校の特性を熟知した、大学受験までを見れる人でないとダメです! ご注意くださいね。

クラス構成と特徴 〜筑陽学園高等学校〜

今は、昔と違って予測不能な時代です。また、Society5.0の実現に向かう世の中の動きがあります。そんな世の中を生き抜くために何が必要なのか?

それを考えたときに、こちらの学校では、「自立と自律」で、自分の人生について主体的に考えていく力が必要だと考えられています。そこには、問いかける力=思考力が必要です。また、校訓である「人を愛し、ひとに愛される人間」は、この時代だからこそ求められているものではないかとも仰っていました。

自分はどういう人として生きていきたいか?「世のため人のため」に、自分は何を社会でするのか? これらの問いを鍵として、自分に問いかけながら、自分でやりたいと思ったことをなんでもできる状況を作っていく。

「自分で創る高校生活」をテーマに、学生それぞれの主体的な問いとそこからの行動を、学校が支えていくという姿勢です。その考え方を前提としての教育改革です。そこを理解しておくと、学校全体の校風が掴みやすくなると思います。

設置学科は、来年度に新設の普通科の理数コースをはじめとして、次のようになっています。デザイン科があるのは珍しいですよね。

時間の関係上、普通科のみの説明になりましたので、デザイン科に関してはパンフレットを参照してください。下では、普通科の特徴をご紹介します。

新設の、特別進学S選抜クラス 理数コース

理数コースって、文理コースとどう違うの?あまり違いが分からない、と思う方もいらっしゃるかと思います。

この理数コースの設置理念は、今の社会の革新と大学入試改革への対応が背景にあります。Society5.0への動きがありますが、日本は科学の担い手が不足しています。
これからの時代を牽引していけるような、今の時代に合う、理系分野で活躍する人材の輩出を目指したいという思いが根底にはあるようです。
また、諸外国と比較して、日本の理系大学への女性の進学率が、未だに少ないことも指摘しておられました。

そして、理系学部の入試における「数学・理科」の弁別性を踏まえて、この理数コースでは、3年間、理数系の教科の時間を増やすことになっています。

目標は、理系・医歯薬系、最難関国立大学の現役合格

3年間クラス変更なし。少人数で、皆でまとまって上を目指す、ハイレベル・ハイペースで進めるコースになっています。

特別進学S選抜クラス 文理コース

理数コースとの大きな違いは、5教科をバランスよく学ぶ時間割というところです。

目標は、文系及び理系の最難関国立大学の現役合格

理数コースと同じく、3年間クラス変更なし。少人数で、皆でまとまって上を目指す、ハイレベル・ハイペースで進めるコースになっています。

特別進学Sクラス

5教科をバランスよく学ぶ時間割で、2年次に文理別の授業進路になります。

目標は、九州大学をはじめとした国公立大学の現役合格

S選抜クラスの力があるのに、九大が第一志望だからあえてこのクラスにいる、というような子もいるそうです。
上にいれば良いっていうわけでもないです。受験に必要のない内容をやらされてる子って、結構います。自分に本当に必要なことを取捨選択して、最適な環境で戦略的にやっていくのって大事ですから、この子の選択は賢いかもですね。

ハイレベル・ハイペースで進めるコースです。

特別進学クラス

目標に応じた自由度の高い時間割。各クラスの中で一番自由度が高く、どんな選択にも対応するクラスだそうです。

基礎を大切に、じっくりと理解を促す。高校3年次で国公立・私立の選択。

目標は、国公立大学(福教、佐賀など)・難関私立大学(西南、福大など)の現役合格

指定校推薦は、このクラスと、次の進学クラスの子が多いです。

進学クラス

文武両道、バランス型の時間割

特別進学クラスと同じく、基礎を大切に、じっくりと理解を促す。

目標は、福大や西南など地元の私立大学をはじめ、短大、専門学校などへの進学

指定校推薦使う子多い。

部活を頑張りたいという子も多い。数年前の、野球部の甲子園出場も記憶に新しいですね。

 

指定校推薦を利用して大学進学したこの中には、大学に入ってボロボロ・・という子も少なからず出てきます。

こちらの学校では、指定校推薦で大学進学した子たちは途中で辞めたりしないし、評判が良いそうですよ。
高校生活で基礎がしっかりできているからじゃないか、とおっしゃっていました。また、指定校推薦を目指す子達には「高校在学中にしっかりと実績を積もうね」などと促すことで、生徒たちに意識づけをしているそうです。

「大学を辞めないって、そんなの当たり前でしょ?!」と思われるかもしれませんが、指定校推薦で安易に大学を決めてしまった子たちの末路がどういうものかを知っている私は、この意味がよ〜く理解できます。

私は、「ラクだから」「得だから」「使わないと勿体無いから」というような、ラクするための安易な指定校推薦の活用は、全力で阻止しています(笑)

進学実績

大学の現役合格率は、93.4%

私立全般に言えることですが、現役合格率が高いのは、公立との差、私立の強みですね!

私立なので、長年この学校一筋20年以上という先生もいらっしゃるようですが、長年に渡って、大学進学のためのメソッドを積み上げてきているのも強みだと言われていました。

入試情報

説明会で強調されていたところを抜粋してお伝えします。

中学入試と奨学生についての特記事項

こちらの中学校では、「学特選抜試験」「一般試験」「特能試験」があります。
「学特選抜試験」は、入試成績上位者を学力奨学生AまたはBの合格とします。
「一般試験」は、奨学生での合格はありません。
「特能試験」は、事前の特能審査を通過した場合に受けられる試験です。少し変わったものなので、3回の入学説明会に参加をして具体的な説明を受ける必要があります。

奨学金制度について、原則として中学3年間で、高校進級時に別途選考あり。高校進級時の施設設備費の支払いはありません。
6ヵ年教育が前提条件なので、中途で他校へ転学しようとする場合は、入学当初にさかのぼって、施設設備費及び校納金等の返還を求める場合があります。

スポーツでも強い学校なので、特能試験を使ってこの学校に行ってスポーツをやりたい!!と思っている子がいると思いますが、注意点があります。
特能試験でも成績優秀者がかなり増えています。半分以上はハイレベルクラスです。学校の方針としても学業との両立が大前提です。

「例えば、サッカーをするために筑陽へというのはダメです。スポーツだけでは通用しません。学校として勉強は大前提にありますので、本人が苦労します。勉強は無理という子は、受けないほうがいいです。」と、はっきりと言われていましたので、そこは注意です!

高校入試と奨学生についての特記事項

S選抜の専願の募集人数は5名となっていますが、これは便宜上の数値で、専願で優秀な人が来たら、合格を出すそうです。

専願の合格得点率の目安は
・S選抜 80%以上
・特進S   70%以上
・特進   60%以上
・進学   40%以上

半分近くが専願での入学です。近年の私立高校はどこも専願が増えてますね。

福岡はまだまだ県立志向が続いているようですが、就学支援金制度で県立と私立の費用差がなくなっていること、私立の奨学金制度の充実、少人数制での徹底した個に対応した授業展開と細やかなケア、などが理解されてくると、今後、私立を第一志望にする子たちがさらに増えてくると思います。

学力奨学生の、施設設備費全額給付は、専願のみです。 

昔は「私立は高い」でしたが、この学校のように、大学の授業料まで負担してくれる奨学生制度を活用した場合、県立高校から国立大に行くよりも、総合的には費用がかからなかった・・ということも出てきます。しかも、私立は現役合格へのこだわりがありますから、先生たちが生徒に熱心に教えてくれるわけです。上のクラスは少人数ですしね。

正直、今の学生が羨ましいです〜。

女子が気になる制服

制服が分かる画像の類がなくて、パンフレットから引っ張ってきてみましたが、全身写っているのがなかったです。リボンのラインの色が違いますね。中学生はリボンのラインが黄色っぽい、高校生は白。

中学生
高校生

私が思うこの学校の良さ、この学校に合いそうな子

こちらの学校では、来年度から大きく改革が行われますが、時代に合わせて臨機応変に、即座に適応するスピード感は、私立の特徴だと思います。

また、「自立」「自律」を養うことを重視して、本人に選択権が与えられます。自分で考えて自分で動く、がベースになります。当然、今の時代はこれができないといけないんですが、タイプによって、得意不得意があります。

自分で思った通りに動けることが心地いい、自分でなんでも決めたい、強制はいや、というタイプの子は、特に、この学校の方針はピッタリ合うと思います。文化祭や体育祭なんかも、楽しく自分たちでやれるようですし。

逆に、決められたレールに乗っておくのが安心で心地いい、自分で考えて決めるのは苦手、ゆとりが与えられるとドンドン怠けていく、というようなタイプの子は、若干苦痛に感じるかもしれません。

また、来年度新設の理数コースは、当然まだ実績がありません。結果が出るのは3年後。「スタートメンバーに自分が入って、最初の実績を自分が作ってやろうじゃないの!!」なんていう、高みを目指した気概のある子には、この理数コースは特にいいんじゃないでしょうか?

また、校訓が「人を愛し、ひとに愛される人間」ですが、一昨年校内見学をした時、教室の前の見えるところに掲げられていました。
風の時代に入った今は特に、この校訓に惹かれる人もいるかと思います。

数年前には野球で甲子園にもいきましたし、スポーツでも多くの実績のある学校なので、スポーツでこの学校に行きたい!と考える子も結構いると思います。サッカーでこの学校に行きたがっている、という子の話も実際に聞いたりしています。
スポーツに熱心な子の中には、勉強は二の次という子もいるかと思うんですが、こちらの学校は、「スポーツだけでは通用しない。勉強もできないとダメ!」とハッキリと言われています。

スポーツでこの学校を目指す子は、英語、数学(算数)、国語、の3教科はしっかりと学んでいきましょう。スポーツは脳を発達させます。自信を持ってください。読書習慣を作ることでも、学力は随分と違いますよ。

オープンスクール

中学と高校のオープンスクールの今後の予定は次の通りです。

中学
高校

まとめ

こちらの学校説明会は、近くの九産高校と並んで、参加者がとても多かったです!
塾関係者の関心のほどが伺えました。

「詰め込み学習からの脱却」を掲げて、昔の教育のやり方を素直に反省されていたんですが、これは私も同じです。
昔は生徒に勉強を教えていました。途中で気づいて脱却できたので良かったんですが、気付かずに続けていたらヤバかったです(笑)

また、「自立・自律」のお話しを聞いていて、思い出したことがあります。

少し前に、親御さんから、「『勉強に集中させるために子どものスマホを取り上げるご家庭もあるんですよ(それくらいしないとダメです)』と、学校で言われたんです。」と聞いて、びっくりしたことがあります。
これ、小学校ではなく、中学校でもなく、高校での話です(笑)

高校生にもなって、誰かの強制力がないと自己コントロールができない、その危うさに気付かないままに、それをさらに助長しようとする大人の見解に、恐ろしくなりました。

社会に出て、指示通りにしか動けないとか、自分で考えて動くことができない若者が多いなんていうことが、社会問題になったりしていますが、これまでの日本の教育のあり方に、その元凶はあるのかもしれません。

何が起こってもおかしくない、予測不可能なこれからの時代を生き抜いていくためには、常に自分で問いを立てて、考えて、自分で選択して、動く。この一連の流れが大事です。
数字では測れない、そういう力を養うための、教育の役割はとても重要だなと、常々思っています。

今、どの学校も時代に合わせて、特に私立は独自の改革を行っています。
私たち親の世代が昔通用していたことが、今では全く通用しない時代です。親御さんはそのことを踏まえて、これからの時代に必要なことに目を向けながら、各学校の取り組みを見ていただくといいんじゃないかなと思います。

筑陽学園の説明会レポート、いかがでしたか?

皆さんにピッタリの学校選びの、何か参考になると嬉しいです♪